Mercedesレポート :Mercedes-AMG C 63 S ステーションワゴン

MercedesレポートVol.9
~あのメルセデスに乗ってみた~
Mercedes-AMG C 63 S ステーションワゴン

どんなクルマ

普遍妥当
いつの時代にもどんな状況であっても変わらない世界感。
古くはメルセデス・ベンツ190E 3.2 AMGから脈々と流れ辿り着いたこのMercedes-AMG C 63 S。
先代のC 63 AMGからAMG C 63 Sに名称が変われど、このエコ一辺倒の世界情勢かArchivnummer: SSPIP42779ら世のエンジンたちが軒並みダウンサイジングされども、このMercedes-AMG C 63 Sの世界観は揺るぎない。
かの有名な元F1レーサーの鈴木亜久里さんもメルセデスの究極はC 63 Sワゴンに限るらしい。
いざという時に5名が無理なく乗車でき、荷物もしっかりと飲み込み、走ればスポーツカーを凌駕するパフォーマンスを持つことをおっしゃっているようだ。
さながら今年話題になったプロ野球のトリプルスリー(3割/30本/30盗塁)にもイメージがダブる。
相変わらずOne man, One engine(一人のエンジニアがひとつのエンジンを担当)のコンセプトを頑なに守るメルセデス・ベンツAMGのエンジニアリング。
今回のMercedes-AMG C 63 S ステーションワゴンはいかがなものなのだろうか?

眺めてみると

憧れの戦隊ヒーローたちのカッコ良さ
いつものごとくスタイリングを見てみよう。OLYMPUS DIGITAL CAMERA
ベースとなったCクラスの素晴らしいデザインに輪を掛けたこのカッコ良さは、子供の頃にTVにかじりついて見入っていた憧れの戦隊ヒーローを想い起こす。
見ただけでときめく、想像するとワクワクする。
全幅を15mmずつ、全長を60mm伸長、ボンネットフードには縦2本のエッジの効いたプレスラインが表現されている。
通常のCクラスと比べてもひと目でわかるそのマッチョな佇まいは、まるでスーパーフェザー級からミドル級まで6階級制覇を成し遂げたオスカー・デラ・ホーヤのごとく。
このMercedes-AMG C 63 S ステーションワゴンも、同様に無駄なものを一切排し、OLYMPUS DIGITAL CAMERA綺麗で完璧な筋肉をまとっている。
まさしく伝説の王者の佇まいなのである。

座ってみると

そのお話、まさに究極ですな。。。
ただならぬ外観を目にしながらドアを開けてみると、そこには期待を裏切らないAMGワールドが拡がっていた。
まず目を引くそのシートは、黒と赤の派手なコンビネーションにAMGのバッジを有す。その仕立ての良いシートに腰を下ろせば、小さなパンチング孔が施されたナッパレザーがしっとりと吸い付くPA190121-1ように柔らかい。
座面前方には電動で座面長を伸ばすことが出来る機構が付く。
横方向はタイトなシートでも、縦方向の座面長は最大5cm近く伸長する。
過分にGの掛かるスポーツドライビングにおいて、膝裏をしっかりと支えてくれるこの装備はたいそうありがたい。
視線を前に向けるとフロントガラスの向こうには通常のCクラスよりボリュームを感じるボンネットが見える。
2本のグラマラスなプレスラインが、このクルマが4リッターV型8気筒510psを積んだPA190130-1AMGのクルマであることの証なのであろう。
そして良質のバックスキンを巻いた太めのステアリング、各所に配されたカーボンパネルやシルバーアクセントが一層そそられてしまう。
また、これだけのモンスターマシンにして...
後席シートは十分なスペースを確保、トランクも余裕のスペース。
さすがは鈴木亜久里さん、PA190118-1 (2)
そのお話、まさに究極ですな。。。

乗ってみると

まずはいつものごとく事前に提供された情報を整理してみよう。
・最高出力510ps、最大トルク71.4kgm、4.0リッターDOHC V型8気筒ツインターボ エンジンを搭載し、0-100km/h加速4.0秒を誇る
・全長4,770mm、全幅1,840mm、全高1,445mm、車重1,870kg、駆動方式は後輪駆動のステーションワゴン
・サスペンション(AMGダイナミック・セレクト)はコンフォート・スポーツ・スポーツプラス・レースの4段階、どんな路面状況に最適な選択が可能
・C 63 S専用でダイナミックエンジンマウントを装備、よりトラクションコントロールに優れた電子制御式ディファレンシャルを採用

この加速の正体は?
それではいざ、乗ってみよう。
エンジンに火を入れた瞬間、まずは誰が乗ってもこのクルマの素性がはっきりと理解できる。
先代のC 63 AMGを爆音と形容するならば、これはさしずめ轟音。PA190124-1
幾分おとなしくなったこのサウンドも、このクルマがいかなるドライバーでも三顧の礼を持って迎えてくれている、という儀式にちがいない。
そしてアクセルを少しずつ開けてみると...
このクルマは決してやんちゃな振る舞いを見せることなく、ドライバーの右足に忠実に歩みを進めていく。
4段階のサスペンションモードの中で、まずはコンフォートを選択。
確かに乗り心地は固めに違いない。
ただそれはソリッドな硬さではなく、なんとなく間に毛布を1枚挟んだかのような感覚に近い。
都心の渋滞もボディ剛性の秀逸さなのか、不快さを覚えることはほぼ皆無だった。
いつも通り首都高に上がってみると、今度は不思議とこの硬さが心地良い。
速度とともにしっかりと路面をホールドしてくれるためか、トレースするラインの予測が容易で、次第に安心感へとつながっていったのだった。
都心環状線を越えて5号線に入る。
ようやく準備運動も終わり、このクルマの本領を発揮できるステージに来た。
サスペンションモードを一気にレースモードへ。
コンピュータのセッティングが変わるのか、このクルマの性格は一変した。
低速からの厚いトルクはどこからでも加速可能で、アクセルオフのバックファイアも洗練されてストレートにカッコ良い。
先代の6.2リッターから2.2リッターものダウンサイジングの影響はどこ吹く風、この4リッターV8ツインターボエンジンに心配のターボラグはまったく感じない。
何よりサウンドが素晴らしい。PA190127-1
通常この手のターボエンジンのサウンドは、ターボの影響で排ガスの流れが妨げられるためクリアで良質のサウンドが聞こえてこないことが多い。
このクルマのサウンドはとにもかくにも美しい。
またサスペンションも完璧だ。
車線変更時のボディ剛性も、ダイナミックエンジンマウントの影響かフロントが揺り戻されるどころか微動だにしない。
まるでエンジンとダンパーが一緒にくっついているようだ。

長い直線で今度は強めにアクセルを開けてみると、シートバックに頭が押し付けられる程の加速で一気に外界の景色が狭まっていく。
この加速感はジェット機の離陸時の感覚に似ている。
それは滑走路を走っている加速ではなく、滑走路から離陸した直後の空へ飛び出していく加速のほうだ。
シューンという心地良い音色、どこまでも伸びていきそうな加速感とともに上空に舞い上がっていくあの感覚に似ている。
初めて乗った飛行機ではあの感覚に恐怖を覚えてしまったが、今ではあの感覚がなんとも心地良い。
きっとこの加速感も、このボディ剛性も、時間とともに何らかの「心地良さ」に変わっていくのだろうか?
この期待感はこのクルマと長い年月をともにするには十分過ぎる動機に違いない。
そんなときめきを覚えさせてくれたこのクルマに、
今夜も乾杯...

測ってみると

    • 全長×全幅×全高 4,770mm×1,840mm×1,445mm
    • ホイールベース 2,840mm
    • 車重 1,870kg
    • 駆動方式 後輪駆動
    • エンジン 4.0リッターDOHC V型8気筒ツインターボチャージャー付
    • トランスミッション 7段A/T
    • タイヤ F245/35R19、R265/35R19PA190132-1
    • 燃費 9.6km/l(JC08モード走行)
    • 価格1,405万円※メーカー希望小売価格(税込み)
    • 試乗車の年式 2015年式
    • 試乗開始時の走行距離4,040km
    • 走行距離 550km
    • 消費ガソリン65.08l
    • 試乗形態:市街地50%/高速50%
    • 実燃費 km/8.5l

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