予防医療の発展期待

九州大病院(福岡市東区)が病気の早期発見・早期治療という予防医療の重要性が増すとして2006年9月に開設した先進予防医療センター。「がんドック」「心臓ドック」「脳卒中ドック」や、女性特有のがんや骨粗しょう症などを調べる「レディースドック」を用意し、09年1月には全国的にも珍しい「アルツハイマードック」も追加した。その後、どうなっているだろうと取材してみると、あれれ…。2年前の13年9月末で閉鎖していた。

 病院総務課によると、閉鎖の理由は「利用が低調だった」という。利用件数は稼働7年間で6132件(うちアルツハイマードックは283件)。平均すれば年間千件にも満たない数字だ。健康診断を実施する機関は他にも各地にあることから、市民は「九大病院は高度医療など別の役割にもっと力を入れてほしい」と思っているということか。

ただ予防医療は、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されない期間)を延ばしたり、医療費や介護費を抑制したりする手段として、発展が期待される分野であるのは間違いない。優秀な人材が集まる九大病院が閉鎖にめげず、予防医療にこれからも関心を持ち続けることを願いたい。

=2015/09/18付 西日本新聞朝刊=

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