はじめに
2011年3月11日に日本を襲った大震災は我々日本人に大きなショックを与えました。福島第一原発の事故に伴って大量の放射性物質が東日本一帯を中心に広い地域にばらまかれ、現在でも深刻な環境汚染を引き起こしました。現在も原発で発生した多量の汚染水の処理をどうするのか、多くの課題が残っています。
たくさんの人々が放射能のために避難を余儀なくされ、日常のかけがえのない生活が一変した訳ですが、放射線による人体への影響については、専門家の間でも確定的なことが言えず意見が分かれたことや、そもそも国や電力会社の発表する情報に不信感が広がったことから、過剰なまでに放射線に対する恐怖反応も見られました。当時マスコミでは特集を組んで解説番組も報道されましたが、情報社会の中で正しい情報、間違った情報が錯綜していましたので、必ずしも国民が納得して正しい科学的知識を身に着けたとは考えられません。
放射線の一つであるエックス線は物体の内部を知る画像検査法として用いられていることはご存じだと思いますが、医療において患者様の体内の様子を観察したり、空港の手荷物検査のように産業用に利用されたりと人類にはなくてはならないものであり、如何に正しい科学的な知識を身に着け、有効に利用するかがとても大事になります。
本コラムでは、放射線の基礎知識をできるだけ判りやすく紹介して歯科医療現場でご活躍されている先生に理解を深めて頂くことで、患者様に安心感やレントゲン装置に対する正しい知識を広め、歯科医療業界に貢献したいと考えています。