ご存じのように、エボラ出血熱が西アフリカでまん延しており、スペインやアメリカでは、この地域からの帰国者が感染していることが確認されました。エボラ出血熱は、インフルエンザのように容易に飛沫感染する可能性は非常に低いですが、致死率が非常に高くとても怖い伝染病です。では放射線や放射能は感染するのでしょうか?
外部にある放射性物質が出す放射線を浴びることを外部被ばく、放射性物質が体内に入ってしまった場合が内部被ばくと言います。放射線は高いエネルギーをもった光ですが、放射線が物質中(人間の人体も物質でできている)を通過する(被ばくする)とその過程で持っているエネルギーを失う(物質にエネルギーを受け渡す)ことになるので、最終的にエネルギーを失えばそれ以上は何も影響を及ぼしません。だから放射線を浴びた人に近づくと放射線が感染ということはありませんので安心してください。
一方、放射性物質を含んだ土などを口に入れたり、食品に少量含まれる放射性物質を摂取したりしてしまうと内部被ばくを受けることになりますが、一回内部に入るとエネルギーを失うまで放射線を出すことになりますので、こちらはやっかいです。よって、内部被ばくを避けるために食品などの規制(食品に含まれる放射性物質が規制値以下になっているか)が国としての大事な施策となる訳です。漁業関係者や農家の方が測定結果を気にされているのをテレビやニュースなどでご覧になったこともあるかと思います。
伝染病と同じように放射性物質はうつったりしますか?と質問を受けることがありますが、放射性物質が人から人へ感染することはまずないと言っていいと思います。母乳を介して胎児や乳児なりに移行する可能性はありますが、それはわずかに過ぎませんので、“放射線も放射能も感染したりしない“これが答えです。